ミルキークイーン


01 新しいお米の秘密 | 02 実りの季節 | 03 実りの季節その2









「高冷地で寒いから、おいしいお米がとれない」昔からそういわれていた富士吉田地域。
しかし、そんな土地だからこそできる、新しい品種の稲作に取り組む方々がいます。
もっちり甘くて、冷めてもおいしいお米「ミルキークイーン」。その生い立ちやこだわりに迫りました。




日本のお米の銘柄といえば、コシヒカリ、ササニシキ・・・などが有名ですね。
しかしここ富士吉田は年間を通して気温が低く、おいしいお米が育ちづらい土地でした。
*豆知識ですが・・・富士吉田の「吉田」の由来は「いい田んぼ、いいお米ができますように」という
願いが込められているというお話があります。

そんな中、近年開発された新品種「ミルキークイーン」。いったい、どんなお米なの?
どうして富士吉田で栽培され始めたの?そんな疑問に答えるべく、少し調べてみました。


◇ミルキークイーンってどんなお米?

名前から、新しい品種のお米といった印象を受けるかと思いますが
ミルキークイーン自体が日本で栽培され始めたのは20年程前から。
実は、日本人なら誰でもおなじみの「コシヒカリ」から生まれた新形質のお米なんです。

何が新しいのかというと、その成分に秘密があります。
お米の食感や味は、お米に含まれるデンプンの中の成分の割合や構造によって変わります。
一般に、デンプンの中の「アミロース」という成分の割合が低いと、
粘りがあり、冷めてもぱさぱさしないお米になると言われています。
もともと粒が大きく、粘りのあるコシヒカリのお米の中でも、
突然変異が起きてアミロースがとても低い品種が生まれました。これが後のミルキークイーンなのです。



言ってしまえば、うるち米(普通のお米)ともち米の中間のお米ができてしまったというわけです。
一度食べてみると驚くことと思いますが、普通のお米よりずっともちもちして甘みがあります。
特に冷めた後、おにぎりなどで食べるとよくわかります。
(逆に、カレーライス等のスープやルウと絡める料理にはあまり向いていないかも。)


◇なぜ、富士吉田市でミルキークイーン?

先程、ミルキークイーンはアミロースの割合が低いからもちもちしていておいしい。
と、書きましたが、これが低くなりすぎても逆によくないのです。
やたらともち米のように粘りがあると、普段のおかずに合わせにくいですよね。
なので、ちょうどいい塩梅の割合になる育て方や環境が必要になってきます。

そこで重要なポイントは、気候。特に昼と夜の寒暖差です。

富士山の麓に位置する富士吉田市は、標高が約700m〜800m。
日照時間が長く昼は暖かいですが、夏でも夜は冷えこみます。
その高冷地ならではの寒暖差によって、アミロースが低くなりすぎず
ちょうどよくおいしくなるのだと言います。

寒いからおいしいお米がとれないと昔から言われてきた富士吉田でしたが、
その環境がミルキークイーンにはぴったりだったというわけです。

そんなわけで富士吉田産ミルキークイーンは栽培され始めた頃から好評で、
有名なグルメ漫画、「美味しんぼ」の日本全国味巡り山梨編でも取り上げられています。
気になる方は、ぜひ80巻を見てみてくださいね。





富士吉田でのミルキークイーン栽培の歴史は、10数年。
何軒もの農家さんが、いつもおいしくて安全なお米をたくさん届けられるよう、日夜努力しています。

続編では、日々お米作りに携わっている、素敵な農家さんたちをご紹介します。

>>第2回の記事はこちらから!


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